糖尿病治療のポイント

糖尿病治療のポイント

・糖質制限食
 人間が、米や小麦などの炭水化物を主食にしはじめたのは、わずか3000-4000年ほど前からのことです。人類の歴史から言うと、まだ、最近のことなのです。それまでは、狩りをして得た肉や魚や、果物、ナッツが主食でした。人間の体には、飢餓に対応するため血糖を上げるホルモンは多数存在しています。一方、血糖を下げるホルモンはインシュリンしか存在していません。もともと、血液中の糖を下げなければならない状況は少なかったと考えられます。
 しかし、現代では、糖質が中心となった栄養過剰な食生活になっています。糖質のとりすぎが、高血糖を招いていることは、明らかです。最近では、糖質(炭水化物)を減らして、たんぱく質や野菜をふやすことで、血糖値が下がることが分かっています。ただし、いくつかの注意があるので、糖質制限は医師の指示のもとで、おこなったほうが安全です。
 糖質制限を行う際に、いきなり完全に糖分(炭水化物)を絶つと、低血糖などの症状が出て体調が悪くなることがあります。ですので、炭水化物の量を、今までの半分くらいに減らして、その分、肉、魚、野菜を増やしてください。これだけでも、血糖が下がる方が、たくさんいます。

・一日二食
 日本人が、一日三食になったのは、江戸時代後期から明治時代のころからです。それまでは、一日一食か一日二食がふつうでした。
 一日三食食べなければ元気が出ないのでしょうか?朝、食べないと本当に頭が回らないのでしょうか?最近は、朝食が有害であるという本も多数出されています。朝おきてすぐにおなかがすく人は少ないと思います。それは、夜食べたものが朝の時点で、まだ十分に消化吸収されていないからです。朝を抜くと、12時間、食べ物がお腹に入らないので、消化に使うエネルギーを、老廃物の排泄に使えるのです。

 一般の糖尿病治療の食事指導では、カロリーを計算して、三食をバランスよく摂取しましょうと教えられます。しかし、このような食事を行っても、なかなか血糖が下がず、どんどん薬が増えていってしまうことがよくあります。
 糖質制限と一日二食にした私の患者さんたちは、どんどん血糖がさがり、薬をやめられた方も多数います。
膵臓に感染が起きたり、重金属・化学物質が沈着している場合も、インシュリン分泌が弱まり、糖尿病になることがあります。当院では、感染の除去、有害物質の排泄も行って、膵臓の機能を上げるようにしています。

・高齢者の血糖管理は厳しすぎないほうがいい
75歳を超えたら、あまり、厳しすぎない値での管理をしています。ヘモグロビンA1Cが、8.0以下程度です。なぜなら、低血糖による死亡事故が少なくないからです。もうひとつの理由は、生活の楽しみをあまり制限すると、ストレスが増え寿命が縮むと考えられるからです。「おいしいものをしっかり食べて、残りの人生を明るく楽しく暮らしたい」というお年寄りの希望をかなえるほうが、精神的にも肉体的にも良いと考えています。

参考文献
「朝食をやめて健康になる」渡辺 正
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」江部康二